Tech Founders Japanの復習

昨日クックパッドにて行われたTech Founders Japanに参加してきました。予想していた内容とだいぶ違ってましたが、とても面白い話が聞けました。メモを元に感想文などを書きます。

第一部 シリコンバレー起業最前線 (UXデザイナー Alexaさんの話)

いきなり元adaptive pathの中の人でした。adaptive path…どこかで見た名前だな…と思ったら、Ajaxの名付け親がいる企業だそうで。多分この記事の邦訳版で目にしてたようです。

Ajax: A New Approach to Web Applications

Alexaさんご本人がUXデザイナーなので、ビジュアルデザインに入る前の企画・設計部分の話が多かった気がします。
虫眼鏡、ペンなどの身近なものを使った未来のデバイスごっこ、技術主導ではなくユーザー体験ありきで発想すること、アイデアが出たら一枚の紙にスケッチを描いて考えることなどなど。作りこむ前にプロトタイプをまず作ってみる、ということを徹底しているように見えました。

スライドの34,35ページ目、カップケーキの話が印象的でした。いきなり立派な大きいケーキを作ろうとして、最初のリリースはスポンジ部分だけ…とするのではなく、最初はカップケーキ(小さいが完成されたケーキ)を目指すというもの。同じような話を37signalsの本で読んだなぁと思っていたら、まんまその人の言葉でした(引用文の最後に Jason Fried の名前が)。

中途半端な製品ではなく、半分の製品

多くのすばらしいアイディアも、一度に実現しようとすると一気にくだらない製品になってしまう。やりたいことのすべてはなかなかできないものだ。時間、資源、能力、そして優先順位と制限はつきものだ。ひとつでも完璧にすることは難しい。同時に10個のことをうまくやる?そんなことは忘れたほうがいい。

より良いもののためには、愛着あるものをいくつか犠牲にしないといけない。やりたいことを半分にするのだ。中途半端な一つのものより、とてもよくできた半分の大きさのものの方がいいに決まっている。量より質だ。(p51,52)

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)

一歩ずつ確実に歩を進めよ、と理解しています。
慌てない、あわてない。一休みひとやすみという感じですね。

第二部 起業を成功させるために必要な要素とは?(投資家Daveさん(@davemcclure)の話)

僕らがクックパッドに着いた時に、ちょうど通りがかったDaveさんが挨拶してくれました。気さくな人だな~と思ったのが印象的です。
セッションで話す内容もプレゼン資料も、気さくでおちゃめな人柄が出てました。

起業するにあたって

  • 製品、サービスを考える時は、まず身近な問題から始めよ
  • 解決策ではなく、問題点を投資家に売り込め

一つ目はよく言われてることで、背伸びすると本質を見誤るからダメよ、ということだと思います。セッション後半で「海外狙いはハンデもあるよ」と言ってましたが、それも同じような意味かなと。

これに関連付けて、自身のこんな資料をツイートしていました。
Your SOLUTION is Not My PROBLEM – Master of 500 Hats

なんとなくこれを思い出しました。

ドラッカーも顧客は何を価値としているか。顧客のところへ出かけて行き、聞かなければならない。と言ってますし、地の利を生かすなら近所の方がよくね?ということだと思います。(ということは僕は多治見向けの何かを考えればいいのか・・・!)

第三部 質疑応答

共同創業者の見つけ方

「手伝ってくれる人に、どんな額でもいいからお金を払うといいよ!」と佐野さんが言っていました。ボランティアベースだと本人同士のやる気に左右されてしまうけど、お金を介在することで互いに責任と良い緊張感が生まれて、それまでと違う関係になれるからだと思います。

友人知人間でお金のやり取りをするのは何気に緊張しますが、これがうまく行けばいい関係になれそうですね。佐野さんも「持続的な関係が作れるんじゃないか」と言っていました。
逆にうまく行かなかったら…w 気まずい空気が流れそうです。試用期間と割り切ってしまうといいのかな。ドライだな…コンクリートジャングル…。

その他

  • 投資を受けて時間を買おう(佐野さん)
  • 不確実性が高い時期は、個人投資家から援助を受けた方がいいかも(Daveさん)
  • 一番いいのは、少ない投資を受けてすぐに全部使っちゃうこと(佐野さん)
  • でもクレイグスリストは外部資金なしであそこまで成長したよ(千賀さん)
  • 日本人は伝聞したものに左右されすぎ。やりたい事に専念しよう!(千賀さん)

最後の千賀さんの言葉は最近よく実感します。
発言を聞いている時に、先日ホッテントリに入っていた為末選手のブログを思い出しました。
@nifty:為末大オフィシャルサイト「侍ハードラー」:嫌われる練習

また、こんな格言も。

楽観主義者とはどこにでも青信号を見つける人間だ。
悲観主義者は赤信号しか見ない。だが、本当に知恵ある人は色盲だ。

ということで

今までどおり無理せず下見ず、他所はよそ、ウチはウチ!という感じでマイペースに頑張っていこうかと思います。

Tech Founders Japanの予習

明日クックパッドで行われる『Tech Founders Japan』に参加できることになったので、お題について簡単に考えてみました。自分達はこうだった、とか、多分同じ理由がでるんじゃないかな、とか思いながら書いています。

第一部 シリコンバレー起業最前線

デザイナーとエンジニアの組み合わせで起業したFoodspotting.comの創業者を迎え、彼らが起業したきっかけ、うまくいった点、苦労した点な どをお聞きします。特にものづくりを出来る人が起業するメリットとデメリットについて自らの経験をもとに語ってもらいます。

起業のきっかけ

  • 楽したかったから
  • 通勤が嫌だったから
  • 組織が面倒くさかったから
  • 好きなことをして食べていきたかったから

うちの奥さんがフリーになった理由のひとつに「インコを飼いたかったから」というものがあったのですが、Twitterのインコクラスタ内で賛同者多数のお墨付きをもらったそうです。

デザイナーとエンジニアが組んでうまくいきそうな点

  • 苦手な分野をカバーしあえる
  • ウェブサービスの立ち上げが楽にできる

デザイナーもプログラマーもコーダーもウェブ上で生産活動が出来る業種ですが、意外と単独では動けないです。特にコーダー(経験者談)。組むことで動ける幅が増えることが一番のメリットじゃないかなと。ドラクエで言うと 戦士+戦士 より 戦士+僧侶 の方が楽になるような感じですね。

デザイナーとエンジニアが組んで苦労しそうな点

  • お互いの世界の言葉が通じない
  • 考え方の違い、発想の違いが溝になることも

どっちかというとエンジニアの言葉の方が難しい気がします。カタカナ語多いですし。

それよりも、エンジニアがデザイナーを「ただページを作るだけの人」として見てたり、その逆だったりするとうまく行かないだろうな…と思いました。が、これは業種以前の問題だったので特に気にしなくてもいいかなと思いました。お互いが対等に、尊敬しあえる間柄だとうまく行くと思います。逆だと苦労しそうです。お仕事の相手も、友達も、夫婦も、なんでもそうですね。

ものづくりできる人が起業するメリット

  • 自分が関心を持っているものを作れる

人に言われてやるよりやる気の出方が違うので、これがメリットですね。

ものづくりできる人が起業するデメリット

  • 営業、経理など会社としての機能を自分でこなさないといけない
  • 俺俺なものを作りがち

一つめはよくある話です。なんとか慣れるしかないように思います。営業は苦痛だった…。

二つめはメリットに挙げたものの暗黒面になるんですが、独りよがりなものを作ってしまいがちなんじゃないかという話です。自分が作りたいものを作って当たればいいんですが、たいていは自分の我が出すぎてしまってバランスの悪いものになってしまうのでは…と思っています。こういうのを俺俺なもの(≒誰得なもの)と呼んでいるのですが、作っているときは周りが見えなくなるのでなんとか治したいです。

第二部  起業を成功させるために必要な要素とは?

要素を自分の外側と内側に分けました。

内的要因

  • 身も蓋もない正論だけを吐いて、それを正確に実行できる精神力
  • (倫理的に)間違ったことをしない

外的要因

  • なし

たぶん天然のマッチョだったら問題なさそうです。僕はガリガリなので苦労しそうです。ガリガリだけにコツコツやっていきたい。

外的要因を「なし」としているのは、外に理由を求めてしまうと運頼みになってしまうからです。いろんな環境があると思いますが、自分の中身と比べたら補正値にしかならないと思っています。自己責任教とかいわない。

運かどうか

「うまくいったのが運かどうか」を考えていたら、下のようなリストができました。

  • 正しいことをして上手くいかなかったら運が無い
  • 正しいことをして上手くいったら運が良い
  • 間違ったことをして上手くいかなかったのは運ではない
  • 間違ったことをして上手くいったのは運が良い

えらい謙虚ですが、これくらいでいいです、多分。

ということで、明日のイベントが楽しみです。タッパ持っていこうかな…?